メディカルニュース
遺伝子の部品交換
nature 2011年7月14日号
酵素を用いた遺伝子操作によって,遺伝病のマウスの症状を緩和できた。

 遺伝性疾患は,遺伝子の配列が通常とことなるためにおきる病気だ。その治療には,原因となる遺伝子配列の修復が有効と考えられる。「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」は,特定の配列にくっつくタンパク質(ジンクフィンガー)と,DNAを切断する酵素(ヌクレアーゼ)を組み合わせた人工の酵素である。この酵素で遺伝子配列の特定の部位を切断し,そこに導入したいDNAを入れることで,DNAの修復が理論上は可能だ。しかし,実際に遺伝病の治療に応用可能かは不明だった。
 アメリカ,フィラデルフィア小児病院のホーリゴット博士らは,ジンクフィンガーヌクレアーゼと,導入したい正常な遺伝子配列のDNAを,血友病(血液が正常に凝固しない遺伝性疾患)のマウスの肝臓に入れた。すると,遺伝子配列がおきかわり,症状の改善がみられた。
 今回の技術を応用すれば,ヒトの遺伝性疾患の治療も可能になるかもしれない,と博士らはのべている。

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