メディカルニュース
意識のしるし
Science 2011年5月13日号
脳内のどの部位が,意識において重要かということが明らかになった。

 意識には,さまざまな実験から,脳の領域の一つ「前頭頭頂皮質」がかかわっているとされる。しかし,脳の損傷によって意識障害がおきたとき,実際に脳のどの領域に異常が生じているかは不明だった。
 ベルギー,リエージュ大学のボリー博士らは,前頭頭頂皮質ではなく,「高次連合皮質」という脳の領域に着目した。意識に関連する脳の情報処理には,五感で感じた脳への刺激を処理するボトムアップ型と,脳内のみでの処理であるトップダウン型がある。高次連合皮質は,トップダウン型の情報処理にかかわるとされる領域だ。博士らは,健康な人と,植物状態にあるなど意識に障害のある患者に音を聞かせ,その際の脳波を記録した。すると,意識障害をもつ患者の脳波には,高次連合皮質における情報処理の障害を示す特徴がみられたという。
 この結果は,意識における高次連合皮質での情報伝達の重要性を強調するものだ,と博士らはのべている。

CLOSE

CLOSE