メディカルニュース
腸と血管の意外な関係
nature 2011年4月7日号
腸内細菌が食事中の脂質を分解することが,動脈硬化の発症を促進するようだ。

 脂質を多く含む食事は,動脈硬化などの循環器疾患の原因となる。これは,血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質の量がふえるためだと考えられている。しかし,食事に含まれる主な脂質の一つであるリン脂質が,動脈硬化の発症にどのようにかかわっているかは不明だった。
 アメリカ,クリーブランド病院のワン博士らは,リン脂質の一つ「フォスファチジルコリン(PC)」の分解物である三つの物質に着目した。博士らは,血液中にこれらの物質がふえると,循環器疾患の発症リスクも上がることを発見した。さらに,この三つの物質を含むえさをマウスにあたえたところ,動脈硬化を発症しやすくなったという。また,PCは腸内細菌により分解されることが知られている。遺伝的に動脈硬化になりやすいマウスの腸内細菌のはたらきをおさえると,循環器疾患の発症率が下がったという。
 博士らは,腸内細菌によるリン脂質の分解が動脈硬化につながっているようだ,とのべている。

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