メディカルニュース
糖尿病治療に新たな光
Science 2011年3月25日号
インスリンとはことなるしくみで血糖値を下げるタンパク質が見いだされた。

 糖や脂肪といった栄養素の合成・分解を調節するために分泌されるタンパク質の一つに,「線維芽細胞増殖因子19(FGF19)」がある。これまで,FGF19は血糖値を下げるはたらきをもつことが知られていた。しかし,そのくわしいしくみは不明であった。
 アメリカ,テキサス大学のキール博士らは,ヒトのFGF19にあたるマウスのタンパク質である「FGF15」をもたないマウスをつくり,研究を行った。その結果,このマウスは,食後に血糖値が下がらないという糖尿病の性質を示した。さらに,FGF19は糖を脂肪に変換せずに,血糖値を下げるというしくみであることも見いだした。これまで,血糖値を下げる際には必ずインスリンが関与すると考えられていた。しかし,FGF19が血糖値を下げるしくみは,インスリンがまったくかかわらないものであった。
 これらの結果は,インスリンの効果が効きづらい糖尿病の患者にも投与することができる,新しい糖尿病治療の開発につながるであろう,と博士らはのべている。

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