メディカルニュース
PTSDを予期できる?
nature 2011年2月24日号
女性の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症に密接に関係する物質が特定された。

 「PACAP」とよばれるペプチドは,細胞でおきる代謝などのさまざまな機能を制御していることが明らかになっている。しかし,心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的なストレスに,このPACAPが関係しているのかは不明だった。
 アメリカ,ハワード・ヒューズ医学研究所のレスラー博士らは,重度の心的外傷を受けた1200人以上の人たちの調査を行った。その結果,女性ではPACAPの血中濃度とPTSDの症状との間に密接な関連があることを見いだした。PTSDになった女性では,ならなかった女性よりPACAPの血中濃度が高かった。一方,男性では,両者の間に明確な差はなかったという。また,PACAPとその受容体の「PAC1」の遺伝子にみられる複数の変異が,女性に限ったPTSDにかかわることも見いだした。
 今回の発見は,PACAPとPAC1を女性のPTSD発症リスクを調べるために利用できる可能性を示している。またPTSD治療の標的にすることもできるかもしれないと,博士らはのべている。

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