メディカルニュース
肺炎球菌の進化
Science 2011年1月28日号
肺炎球菌のゲノムの変化のしやすさが抗生物質に対する耐性を生みだしていた。

 のどや鼻腔に常在する肺炎球菌は,1年間あたり1500万人に,肺炎などを発症させる。抗生物質が使用されてきた結果,複数の抗生物質に耐性をもつものが増加してきている。はじめてみつかった耐性菌「PMEN1」は,ペニシリンを含む複数の抗生物質に耐性をもっていた。この種の菌は世界各地で次々にみつかり,ワクチンへの耐性をもつなどさらに進化してきた。
 イギリス,ウェルカム・トラスト・サンガー研究所のクロウチャー博士らは,肺炎球菌がどのように変化してきたのか明らかにするため,240株のPMEN1系統の菌の遺伝子配列を解読した。その結果,700か所以上の組みかえを発見し,体内の免疫と作用する「抗原」になるタンパク質の遺伝子に多数の組みかえがおきていることがわかった。さらに,多剤耐性は,この多くの組みかえによって生じることがわかった。
 今回,遺伝子配列が非常に組みかわりやすい菌は,いかに短期間で抗生物質などの治療に適応しうるのかが示された,と博士らはのべている。

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