メディカルニュース
脳卒中の予防薬へ?
nature nanotechnology 2011年2月号
カーボンナノチューブを投与しておくと,脳卒中後の回復が促進されるようだ。

 脳卒中では,脳の組織が破壊される。これまでに治療の戦略として,脳の損傷した部分に新たな細胞を生みだす幹細胞を移植することが考えられてきた。その際,幹細胞が接着するための"足場"もあわせて移植する必要がある。その候補として,炭素原子がつながった筒状の「カーボンナノチューブ」があげられ,良好な結果が得られている。
 韓国,中央大学校のリー博士らは,アミノ基をつけたカーボンナノチューブをラットに事前に投与しておくと,虚血性脳卒中を引きおこしたあとにラットの運動能力の回復が促進されることを見いだした。カーボンナノチューブを事前に投与されたラットでは,投与されなかったラットにくらべ組織の損傷が少なく,回転する棒により長くつかまっていられたという。
 今回のカーボンナノチューブを投与することで細胞死や炎症がおさえられ,脳の機能低下も小さくなっているのだろう,と博士らは推察している。

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