腎臓結石は，尿中のカルシウムなどの物質が腎臓内に石のようなかたまりをつくる（結石する）病気だ。中には，「システイン」とよばれるアミノ酸の一種が結石することもある。このタイプは，石が大きく，再発しやすい。また慢性腎臓疾患を引きおこしやすいという特徴がある。このタイプの腎臓結石に対する薬は，吐き気や発熱などの副作用を引きおこす場合があり，よりよい薬の開発が求められている。 　アメリカ，ニューヨーク大学のライマー博士らは，システインが結晶化して結石するようすを原子間力顕微鏡（AFM）を使って詳細に観察した。その結果，「L-システインジメチルエステル」と「L-システインメチルエステル」という物質が，システインの結晶化を阻害して，結晶化の速度をいちじるしくおさえることを明らかにした。 　このしくみを標的として，システインからなる腎臓結石に対する薬が合成できるかもしれない，と博士らはのべている。