メディカルニュース
上皮細胞にとりつく細菌
Science 2010年9月3日号
 感染に必要なステップである,細菌が粘膜に定着するしくみが明らかになった。

 動物は,すばやい代謝で粘膜の上皮細胞を脱落させる「剥脱」で細菌感染を防ぐ。多くの細菌にとって,粘膜の表面に定着することは,感染の重要な第1ステップだ。細菌がどのように剥脱に対抗しているかは不明だった。 今回,ドイツ,コンスタンツ大学のミューナー博士らは,「がん胎児抗原(CEA)」に結合する細菌が,CEAの遺伝子を導入したマウスの泌尿生殖器の管内には定着するが,通常のマウスでは上皮細胞の脱落により定着しないことを示した。  細菌がCEAに結合すると,それが引き金となって「CD105」がふえる。さらに,CD105は「β1インテグリン」を活性化し,細胞の接着能を変化させた。すると,細胞は脱落しにくくなった。  つまり,β1インテグリンを活性化する経路を操作することにより,粘膜への定着は促進し,感染に至ることがわかった。インテグリンが,細菌感染を治療したり防いだりするための標的になりうることを示す結果だ,と博士らはのべている。  

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