メディカルニュース
熱帯熱マラリア原虫の起源
nature 2010年9月23日号
 ヒトに感染するマラリア原虫は,ゴリラに感染する種が起源であると判明した。

 マラリアは,その罹患率と致死率が高い。毎年数百万人がマラリアを発症し,100万人以上が死亡する。そのマラリアを引きおこす「熱帯熱マラリア原虫」の起源や進化に関しては,あまりよくわかっていなかった。これまで,ヒトに感染する熱帯熱マラリア原虫は,チンパンジーに感染する種と近縁ではないかと考えられてきた。  アメリカ,アラバマ大学のリウ博士らは,中央アフリカ一帯でマラリア原虫の種がどのように分布しているか調べた。博士らは,霊長類のふんのサンプルを3000個回収し,そこに含まれるマラリア原虫のDNAを増幅して分析した。その結果,チンパンジーと西ゴリラはマラリア原虫に感染していたが,東ゴリラやボノボは感染していないことがわかった。また,マラリア原虫の種は六つのグループに分かれ,ヒトに感染する種と最も近縁だったものは西ゴリラに感染していたものだった。  博士らは,今回の発見により,ヒトに感染するマラリア原虫は,チンパンジー由来ではなく,ゴリラ由来のものであることがわかった,とのべている。

CLOSE

CLOSE