メディカルニュース
遺伝する不安気質
nature 2010年8月12日号
不安気質を生む神経回路が特定され,その機能が遺伝することがわかった。

「不安気質」は,ちょっとしたことにも過剰におそれを感じる気質のことで,ヒトを含む霊長類でみられる。幼少期に不安気質をもつと,のちに不安症,鬱病,薬物乱用におちいりやすい。そのため不安気質は,そうした病気を早期に予測するシグナルとなる。しかし,不安気質となる原因はほとんど明らかになっていなかった。  アメリカ,ウィスコンシン医科大学のオラー博士らは,一つの家系に属する,不安気質をもつ238匹の若いアカゲザルに不安気質を誘発する刺激をあたえ,脳の活性化する領域と不安気質の程度を調べた。その結果,「扁桃体中心核領域」と「海馬」の前部に不安気質を引きおこす神経回路があることがわかった。また,遺伝子解析により,不安に対する海馬領域の活性の度合いは遺伝するが,扁桃体領域の活性の度合いは遺伝しないことがわかった。  この二つの領域はたがいに密接に関連しあうが,遺伝子や環境に対してことなる影響を受けるようだ,と博士らはのべている。  

CLOSE

CLOSE