インフルエンザウイルスの表面にある「ヘマグルチニン(HA)」というタンパク質に,「抗体」が結合すると,ウイルスの感染力が失われる。HAを含むウイルスの一部を「ワクチン」として接種すると,ウイルスに感染する前に,HAに対する抗体を体内でつくっておくことができる。ただしHAは何種類もあり,毎年流行する種類がちがうため,どの種類にも対応できるワクチンが求められていた。
アメリカ,国立衛生研究所のウェイ博士らは,HAタンパク質ではなく,HAをつくる遺伝子を含む環状のDNA(デオキシリボ核酸)を,ワクチンとしてマウスに接種した。そこへさらに,通常の季節性インフルエンザワクチンなどを接種した。こうして2種類のワクチンを組み合わせた結果,さまざまな種類のHAに対して効果をもつ抗体が体内でつくられたという。
博士らは,この方法により,すべてのインフルエンザウイルスに効果のあるワクチンが実現できるかもしれない,とのべている。
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