メディカルニュース
パーキンソン病の神経回路
nature 2010年7月29日号
大脳の基底核の神経回路を調節することで,パーキンソン病の治療が可能になるかもしれない。

 大脳の「基底核」とよばれる領域の神経回路は,運動機能の制御に重要な役割をもつ。基底核には二つのことなる神経回路があり,正または負に運動を調節する。これまで,「直接路」の神経回路の活性化は運動を促進し,逆に「間接路」の活性化は運動を抑制すると考えられてきた。しかし,この説は実験的に証明されておらず,真偽のほどは不明だった。  アメリカ,グラッドストーン研究所のクラヴィッツ博士らは,基底核の「新線条体」において,運動を正または負に制御する二つのことなる神経回路の活動を,光を利用して別々に活性化できるマウスを作製した。それぞれの神経回路の役割を検証した結果,運動を負に制御する神経回路を活性化するとパーキンソン病のような症状を示した。逆に,運動を正に制御する神経回路を活性化するとパーキンソン病のような症状は示さなくなった。  この神経回路をうまく調節することによってパーキンソン病の治療が可能になるかもしれない,と博士らはのべている。  

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