メディカルニュース
黄色ブドウ球菌の弱点
Science 2010年7月16日号
 抗生物質が効きにくい黄色ブドウ球菌の病原性を調節する物質を発見した。

「黄色ブドウ球菌」は,食中毒などの原因となる病原体である。この菌は,菌治療に用いられるさまざまな「抗生物質」に耐性をもつものが多い。そのため,黄色ブドウ球菌に感染すると,その治療は困難である。  カナダ,マックマスター大学のワイアット博士らは,黄色ブドウ球菌の病原性の発現を調節する機能をもつ物質「オウレスマイン」を発見した。オウレスマインは,黄色ブドウ球菌がつくる非リボソームペプチド二次代謝産物で,黄色ブドウ球菌が増殖・感染するのに不可欠なものだ。今回,2種類のオウレスマインがみつかった。マウスを使った実験を行うと,オウレスマインを生産できない黄色ブドウ球菌は,脾臓や肝臓,心臓といったマウスの主要な器官内で活動が弱められたり,死滅したりした。  オウレスマインをつくれなくする薬をつくれば,それが抗生物質に耐性のある黄色ブドウ球菌の新しい感染予防薬となるかもしれない,と博士らはのべている。  

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