メディカルニュース
"時計"が狂うと糖尿病に
nature 2010年7月29日号
体内時計をつかさどる時計遺伝子の異常は,糖尿病を引きおこすようだ。

 私たちは約24時間周期の「体内時計」をもっている。体内時計のリズムは,複数の「時計遺伝子」によってきざまれている。  アメリカ,ノースウェスタン大学のマルチェバ博士らは,体内時計が狂うと「膵島」の遺伝子のはたらきがおかしくなって,血糖値が異常に高くなり,「糖尿病」を発症することを示した。膵島とは,血糖値を低下させるホルモン「インスリン」などを分泌する,膵臓の中の部位だ。時計遺伝子である「Clock」や「BMAL1」に変異をもつマウスを観察したところ,血糖値を一定に保つ能力に異常があり,インスリンの分泌能力や膵島のサイズが小さいことがわかった。時計遺伝子に異常が生じることで,インスリンの分泌などにかかわる膵島の遺伝子も正しくはたらかなくなっていたのだ。  体内時計の状態を調べることで,不規則な仕事や食事などの生活リズムの乱れが糖尿病におよぼす影響を明らかにできるかもしれない,と博士らは考えている。  

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