メディカルニュース
脱毛の原因遺伝子
nature 2010年7月1日号
 大規模な遺伝子解析によって,円形脱毛症の原因となる遺伝子が特定された。

 およそ1.7%の人が,一生に一度は「円形脱毛症」を発症するといわれる。円形脱毛症は,本来体を守るべき免疫系が,自分自身を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一つだ。毛根をつつむ「毛包」という組織の細胞が,免疫系に攻撃されることで脱毛がおきる。円形脱毛症と関連する遺伝子は,ほとんど明らかになっていなかった。  アメリカ,コロンビア大学のペトゥホーヴァ博士らは,1054人の円形脱毛症患者と3278人の非患者について,遺伝子を比較・分析した。その結果,患者に特徴的な遺伝子の変異を139個見いだした。中でも「ULBP」という遺伝子の変異が,円形脱毛症と強く関係していた。ULBPは,細胞を攻撃する「ナチュラルキラー細胞」を活性化する。患者の脱毛部位では,遺伝子の変異によって,ULBPが異常に強くはたらいていた。  ULBPの活動を制御する薬を開発することで,円形脱毛症の治療ができるかもしれない,と博士らは期待している。

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