メディカルニュース
乳がん予防に一歩前進
nature 2010年6月10日号
卵巣から出るホルモンは,乳腺のもととなる細胞に大きな影響をあたえていた。

 母乳をつくる細胞である「乳腺」の形成には,卵巣から分泌される「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンのはたらきが重要だ。これらのホルモンは乳がんの発症にも関係しており,卵巣除去などによってホルモンの分泌量を減らすと,乳がんの発生率は大きく減少する。しかし,これらのホルモンが,乳がんの発生に大きな影響をおよぼす理由は不明だった。  オーストラリア,ウォルター・エリザ・ホール医学研究所のアセリン?ラバット博士らは,マウスを使い,乳腺のもととなる細胞「乳腺幹細胞」が,エストロゲンとプロゲステロンに非常に強く反応することを明らかにした。これらのホルモンは,乳腺幹細胞をふやしたり,活性化したりすることで,乳がんの発生に関与しているようだ。  博士らは,乳腺幹細胞を減らすはたらきをもつ薬によって,乳がんの発症をおさえられるようになるかもしれない,とのべている。  

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