メディカルニュース
抗がん剤をパワーアップ
Science 2010年5月21日号
特定のペプチドを抗がん剤にまぜるだけで,がんに対する効果が増強された。

 抗がん剤のききめは,がんへの浸透しにくさと,副作用をさけるため大量に投与できないことに,最も制限を受ける。固形がんにおいて,多くの抗がん剤は血管からわずかの距離までしか浸透しない。そのため,薬剤の効果は弱まり,がん細胞は抗がん剤に対する耐性をもつようになってしまう。  アメリカ,カルフォルニア大学のスガハラ博士らの研究グループは,以前,11個のアミノ酸からなる「iRGDペプチド」を抗がん剤に結合させると,抗がん剤ががんに浸透しやすくなることを発見した。今回,博士らはiRGDペプチドを抗がん剤とまぜるだけで,がんへの浸透性と効果を増強させられるか検討した。iRGDペプチドの増強作用を,より簡単に多くの抗がん剤に適用させることが目的だ。  実験の結果,iRGDペプチドを抗がん剤と結合させずに,まぜてマウスに投与するだけで,治療効果が増強されることが明らかになった。iRGDペプチドと抗がん剤を併用することで,より効果的ながんの治療が可能になるだろう,と博士らは期待している。  

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