メディカルニュース
温暖化でもマラリアふえず
nature 2010年5月20日号
熱帯地域の病気であるマラリアの流行に温暖化は関係ないことがわかった。

「マラリア」は,ハマダラカに刺されて「マラリア原虫」に感染すると発症する,熱帯や亜熱帯で流行する病気だ。温暖化により気温が上がると蚊の活動範囲が広がり,発症地域が増加するのではないかと懸念されている。一方で,経済の発展と治療によってマラリアの発症地域が縮減していることが知られていた。  イギリス,オックスフォード大学のゲッチング博士らは,過去のデータとの比較から,発症地域の広がりと地方的な流行のいずれもここ100年で縮減していることを,はじめて定量的に明らかにした。さらに,将来の気温の上昇がマラリアの流行にあたえる影響は,考えられているよりかなり低いとも予測された。  今回の結果から,世界的な気温の上昇がマラリアの罹患率と致死率を増加させているという従来の主張は事実と矛盾するようだ,と博士らはのべている。また博士らは,将来のマラリアの流行は,気温の変化以外の要素によって決まるのではないかと考えている。  

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