メディカルニュース
抗体が感染をうながす!?
Science 2010年5月7日号
 デング熱ウイルスに対する抗体は,ウイルス感染を防ぐどころか促進していた。

 熱帯や亜熱帯地域では,毎年5000万?1億人が「デング熱ウイルス(DENV)」に感染している。DENVは蚊によって媒介され,急な発熱や全身の痛みを引きおこす。  一般的に,ウイルスに感染すると「抗体」ができ,再感染を防ぐ。ところがDENVは4種類あり,1種類に感染して抗体ができても,ほかの種類の感染を防げない。しかも2回目の感染は1回目より症状が重くなる。2回目のほうが重症となる理由は不明だった。  イギリス,インペリアル・カレッジのデジニラッティサイ博士らは,DENVの表面にある「prMタンパク質」に着目し,これに反応する抗体を作成した。この抗体はことなる種類のDENVの感染を防げないどころか,ウイルスの細胞への侵入を促進することがわかった。この抗体が2回目の感染を重症化させる"犯人"だったのだ。  DENVのワクチンをつくる際には,prMタンパク質に反応する抗体ができないよう注意する必要がある,と博士らはのべている。

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