近年，「ゲノムワイド解析」によって，病気や身長など，ヒトのさまざまの形質にかかわるDNA領域が明らかになってきている。しかし，より複雑な形質にかかわるDNA領域の多くは同定されていなかった。これは，形質に少しだけ影響するDNA領域をすべて同定する方法がなかったためだという。 　今回，アメリカ，ハワードヒューズ医学研究所のエーレンライヒ博士らは，酵母において従来よりも多くのサンプルをあつかうことができる解析手法を開発した。この方法によって，形質にわずかに影響するDNA領域まで同定することができるようになった。博士らは2種類の酵母株を交配させ，17種類の化合物に対する抵抗性とミトコンドリアの機能の解析を行った。その結果，ある形質は1つの主要な領域以外に，20か所以上の領域が関与していることがわかったという。 　今回開発した方法を用いることで，ヒトなどがもつ複雑な形質の遺伝学が解き明かせるようになるかもしれない，と博士らはのべている。