メディカルニュース
お年寄りがもつ免疫の由来
Science 2010年4月16日号
 スペイン風邪と2009年に流行したインフルエンザは似ていることがわかった。

 インフルエンザは数十年ごとに大流行してきた。20世紀中には,1918年のスペイン風邪(H1N1型),1957年のアジア風邪(H2N2型)などインフルエンザが3回大流行している。2009年4月,新たなインフルエンザH1N1ウイルスがメキシコで出現し,世界中で大流行した。ただし高齢者は,若年者にくらべ,このウイルスに感染しにくいことがわかっていた。  アメリカ,スクリプス研究所のシュ博士らは,スペイン風邪を引きおこしたウイルスの殻の「HAタンパク質」と,スペイン風邪の生存者から得た抗体の間の立体構造を解明した。抗体は,ウイルスに結びつくアとでウイルスを無力化する。抗体は,1918年のウイルスにも,2009年のウイルスにも結合して無力化することができた。  2009年のインフルエンザウイルスが1918年のスペイン風邪と似ているため,かつてスペイン風邪にかかって抗体を得た人は,2009年のウイルスに感染しにくいのだろう,と博士らはのべている。

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