メディカルニュース
遺伝子の文字が1か所ちがうだけで心臓病になりやすい
nature 2010年3月18日号
一塩基多型が冠動脈疾患の発症にかかわる,直接的な証拠が示された。

 遺伝子は,長い“ひも”状の染色体に,4種類の「塩基」という文字でかかれている。同じ遺伝子であっても,人によっては文字がことなることがある。特に,同じ場所の文字のちがいにいくつかのパターンがあることを,「一塩基多型」という。このちがいはときに,病気のなりやすさと関係する。心臓の冠動脈疾患はそのひとつだ。今までに,9番染色体のある領域の一塩基多型が,冠動脈疾患になる危険を高めることがわかっていた。しかしこの領域はタンパク質の情報をもっていないため,どのように冠動脈疾患にかかわるのか不明だった。  ローレンス・バークリー研究所のヴィセル博士らは,この一塩基多型を含む領域が,細胞増殖にかかわる遺伝子のはたらきを“遠隔操作”していることを明らかにした。博士らは,この領域に対応する染色体の一部分を切り取ったマウスをつくり,その動脈の細胞を調べた。すると,切り取った領域にとなり合う二つの遺伝子「Cdkn2a」と「Cdkn2b」がはたらきにくくなり,細胞の増殖能力が高くなっていた。この性質は,疾患をおこした冠動脈の細胞と同じだったという。今回の結果は,一塩基多型がある領域が,遺伝子のはたらきに影響している直接の証拠だ,と博士らはのべている。 -------------  

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