メディカルニュース
ウイルス複製に必要な"道具"を発見
nature 2010年1月7日号
インフルエンザウイルスがふえるときに使う,ヒトのタンパク質が同定された。

 A型インフルエンザウイルスは,みずからタンパク質をつくりだす能力が低い。そのため,生存に必要なさまざまなタンパク質を宿主から得ている。ウイルスが宿主からどんなタンパク質をうばって利用しているかわかれば,抗ウイルス薬の新たな標的が得られる可能性がある。  アメリカ,バーンハム医学研究所のケーニッヒ博士らは,ウイルス複製の早い段階で利用される295個の細胞内コファクターを同定した。その内181個の因子は,宿主と病原体の相互作用にかかわっていた。219個は,野生型インフルエンザウイルスの効率的な増殖に使われており,そのうち23個の因子はウイルスの侵入に必要であることがわかった。また,10個のタンパク質はウイルスの侵入後の段階に関与することが確認された。  ブタ由来のH1N1インフルエンザウイルスの増殖も,今回同定された宿主因子に依存している。いくつかの因子の阻害剤ができれば,インフルエンザウイルスの複製に拮抗することができると博士らはのべている。 -------------  

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