メディカルニュース
肥満と遺伝子の数
nature 2010年2月4日号
 遺伝子の数のちがいが,早期発症型の肥満に関係しているようだ。

 ヒトの全遺伝情報である「ゲノム」の解析により,個人間の塩基配列のちがいと体質との関係が調べられている。肥満度と関係する塩基配列のちがいも特定されている。しかしこれまでの研究では,一部の肥満患者しか,その関係性を説明できていなかった。  イギリス,アデンブルックス病院のボチュコバ博士らは,重度の早期発症型肥満の患者300人を対象に,遺伝子の数のちがい「コピー数多型」を解析した。人は通常,母方由来と父方由来の二つの遺伝子をもつとされてきたが,正常な人も遺伝子が一つや三つの場合があることが近年わかっており,この遺伝子の数のちがいが体質にかかわると考えられている。解析の結果,300人中5人の16番染色体で,50万塩基対もの領域が欠損していることがわかった。  この欠損領域にある遺伝子「SH2B1」は,「インスリン」のはたらきに関係しており,早期発症型肥満の原因の一つである可能性がある。コピー数多型を調べることで多くの疾患の原因がわかるかもしれない,と博士らはのべている。 -------------  

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