メディカルニュース
レシピちがいのiPS細胞
nature 2010年2月25日号
導入する遺伝子の組み合わせによって,iPS細胞の性質はかなりかわるようだ。

「iPS細胞」とは,どんな組織や臓器にも変化できる細胞であり,皮膚などの細胞に外部から特定の遺伝子を送りこんでつくることができる。マウスの胎児からとった「線維芽細胞」を使う場合,「Oct3/4」,「Sox2」,「Klf4」という三つの遺伝子を導入すればiPS細胞をつくることができる。  シンガポールゲノム研究所のハン博士らは,Oct3/4,Sox2,Klf4に「Tbx3」という遺伝子を加えた四つの遺伝子を用いて作製されたiPS細胞は,先の三つの遺伝子だけでつくられたiPS細胞よりも,生殖細胞(精子や卵子)になりやすく,子孫をつくる能力も高いことを明らかにした。ところが,この2種類のiPS細胞について,はたらいている遺伝子の種類や量を調べると,ほとんど同じだという。  今回の結果を受け,博士らは,作製方法のことなるiPS細胞について,培養している状態ではわからない生体内での性質のちがいをくわしく解析していくことが必要だ,と主張している。 -------------  

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