メディカルニュース
薬剤耐性菌に新たな対抗策
Science 2010年2月19日号
 緑膿菌に対して,新たな抗菌作用をもつ化合物を合成することに成功した。

「緑膿菌」は環境中に広く存在する細菌である。感染しても健康な人はまず問題ないが,病気などで免疫力が低下した人に対しては病原性を示すことがある。しかも既存の薬が効かなくなる「薬剤耐性」をもつものも多く,やっかいな細菌だ。  スイス,チューリッヒ大学のスリニバス博士らは,「プロテグリンI」という抗菌作用をもった物質をもとに,新たな化合物を合成した。その中から,緑膿菌に対してのみ,非常にわずかな量でも増殖をおさえる作用を示す化合物を複数発見した。解析を進めたところ,これらの化合物は,細菌が細胞の「外膜」をつくるときに必要な「LptD」というタンパク質に一部の構造が似ていることがわかった。化合物はLptDにくっつくことで,LptDの機能を阻害するようだ。結果として,細菌の増殖がおさえられるという。  今回合成された化合物は,緑膿菌の重要な治療薬となりうるだろう,と博士らは考えている。 -------------  

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