メディカルニュース
肉芽腫を退治して結核治療
nature 2009年12月24/31日号
結核菌が肉芽腫をつくるときには,宿主がもつ特定の酵素が必要だった。

 結核のときにみられる「肉芽腫」は,結核菌を閉じこめ,増殖を制限するはたらきがあると考えられてきた。しかし初期の肉芽腫は,むしろ細菌の数をふやしていることが,結核菌と同属の細菌「マイコバクテリウム・マリヌム(Mm)」を感染させる実験から明らかになっている。肉芽腫は,マクロファージなどの免疫系細胞によってつくられるが,詳細な形成経路は不明だった。  アメリカ,ワシントン大学のヴォルクマン博士らは,Mmに感染させたゼブラフィッシュを用いて,細菌が肉芽腫をつくる際に必要な宿主側の因子を調べた。その結果,Mmが放出する「ESAT-6」というタンパク質が,感染したマクロファージ近くの上皮細胞で「MMP9」という酵素を誘導していることがわかった。MMP9はマクロファージを呼びよせ,肉芽腫の成熟と細菌の増殖を引きおこしていた。MMP9を阻害すると,肉芽腫の成熟も細菌の増殖も弱まった。  今回の結果から,MMP9を阻害することは結核の新たな治療法となるのではないか,と博士らはのべている。 -------------  

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