メディカルニュース
糖尿病のリスクとなる変異
Science 2010年1月8日号
 II型糖尿病の発症に関係している遺伝子の変異をつきとめた。

 血糖値を下げるホルモン「インスリン」は,膵臓の「β細胞」から分泌される。β細胞のインスリン分泌能力の低下や,インスリンに対する反応の低下は「II型糖尿病」の主な特徴である。II型糖尿病は,いくつかの遺伝的多様性(個体間での遺伝子のちがい)と関連していることが知られているが,くわしいメカニズムはほとんど明らかになっていない。  スウェーデン,ルンド大学のローゼングレン博士らは,交配を重ねてII型糖尿病を発症するようになったラットについて,遺伝子の解析を行った。その結果,このラットは「α2Aアドレナリン受容体」遺伝子が過剰発現していた。α2Aアドレナリン受容体は,インスリンの分泌を抑制する。さらにヒトにおいて,α2Aアドレナリン受容体の遺伝子を調べたところ,1か所だけがグアニンからアデニンへ変異している場合があることがわかった。この変異をもつ人は,α2Aアドレナリン受容体の遺伝子が過剰に発現していた。  II型糖尿病の診断や治療にはα2Aアドレナリン受容体の機能を抑制することが有効かもしれない,と博士らはのべている。 -------------  

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