メディカルニュース
感染の歴史が明らかに
Science 2010年1月22日号
病原菌の感染経路を精度よく追跡することができる解析法が開発された。

 細菌は人から人へ感染を重ねると,その遺伝子が少しずつ変化していく。その変化を解析すれば,どのような感染経路をたどったのかを明らかにできる。ところが従来の解析法は精度が低く,変化の程度が小さい場合,正確に分析することができなかった。  イギリス,ウェルカムトラスト・サンガー研究所のハリス博士らは,わずかな変化でも高感度かつ高速に解析できる新たな解析法を使い,院内感染の原因菌として知られる「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」について,感染経路の大規模な調査を行った。するとMRSAがアメリカ,ヨーロッパ,アジアと40年間かけて世界的に感染を広げてきた経緯が明らかになった。この高感度な方法を使えば,病院内で人から人へどのように感染していったかを追跡することもできるという。  今回の手法は,病原菌の伝染速度を調べるだけでなく,広く微生物の生態を研究する際にも役立つだろう,と博士らは考えている。 -------------  

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