メディカルニュース
C型肝炎の新たな治療法
Science 2010年1月8日号
 合成核酸を使えば,C型肝炎ウイルスを副作用なしに減らせるかもしれない。

 世界中で1億7000万人以上の人が,肝がんなどを発症する危険性を高める「C型肝炎ウイルス(HCV)」に感染している。現在の標準的なHCVの治療法は感染者の半分ほどにしか効果がなく,新たな治療法が求められている。  アメリカ,サウスウェスト・バイオメディカル研究財団のランフォード博士らは,HCVが増殖するためには肝臓の細胞でつくられる短いRNA「miR-122」が重要であることに着目した。そして,miR-122のはたらきを邪魔することでHCVを減らせるのではないかと考えた。RNA(リボ核酸)とは,遺伝情報をしるしたDNA(デオキシリボ核酸)をもとに細胞内で合成される核酸の一種である。  miR-122のはたらきを阻害するよう設計された核酸「SPC3649」を合成し,HCVに感染しているチンパンジーに投与すると,副作用なしに血中のウイルス濃度を低下させることができた。HCV治療薬の候補としてSPC3649は有望だ,と博士らはのべている。 -------------  

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