マラリアは,「ハマダラカ」という蚊によって媒介される世界で最も致死率の高い感染症の一つである。マラリア原虫が赤血球を破壊することで,高熱が出る。
赤血球にある「G6PD」という酵素の異常型である「G6PDマヒドン型」をもつ人は,世界に4億人以上いる。なかでも東南アジアにこの異常型をもつ人が多いが,理由はよくわかっていなかった。
フランス,パスツール研究所のルイシャロアン博士らは,G6PDマヒドン型をもつ人は「三日熱マラリア」に感染しても原虫の量があまりふえず,生存に有利であることを明らかにした。ほかの種類のマラリアである「熱帯熱マラリア」に対しては,このような抵抗性はみられなかった。なお,東南アジアにおけるマラリアの半分以上は三日熱マラリアである。
G6PDマヒドン型をもつ人は三日熱マラリアの多発症地域において生存しやすいため,東南アジアでこの異常型がふえていったのだろう,と博士らは推測している。
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