メディカルニュース
T細胞の道案内
nature 2009年11月26日号
感染組織へT細胞がたどりつくには,補助役のT細胞の誘導が必要だった。

「細胞傷害性T細胞(CTL)」は,生体内に侵入したウイルスなどの異物を認識して,破壊する。CTLの異物への反応(CTL応答)がはじまる際には,「CD4+ヘルパーT細胞」が重要なシグナルを発していることが知られている。しかし,CTL応答の初期段階以外の段階で,CD4+ヘルパーT細胞がどのような補助を行っているのかは,よくわかっていなかった。  アメリカ,イェール大学のナカニシ博士らは,CTLがウイルスなどに感染した組織に入りこむためには,CD4+ヘルパーT細胞があたえる手がかりが必要であることを示した。CD4+ヘルパーT細Eは,感染した組織の細胞に作用し,「ケモカイン(白血球を遊走させる活性をもつ物質)」を分泌させる。感染組織から分泌されたケモカインに誘導されて,CTLは感染組織に集まってくるという。  博士らは,CTLを末梢の感染部位へと移動させ,感染細胞の排除を助けるという,今まで知られていなかったCD4+ヘルパーT細胞の役割を明らかにした。 -------------  

CLOSE

CLOSE