メディカルニュース
発熱を制御するタンパク質
nature 2009年11月26日号
骨の維持に重要なタンパク質が体温調節にも関わっていることがわかった。

 サイトカインの一種「RANKL」とその受容体「RANK」は,骨の維持やリンパ節の形成,授乳可能な乳腺の形成に重要なはたらきをもつ。この二つのタンパク質は中枢神経系にもあるが,どのようなはたらきをもつかは不明だった。  今回,オーストリア科学アカデミー分子生物工学研究所のハナダ博士らは,RANKLとRANKが発熱反応に重要な役割をもつことを明らかにした。マウスとラットの脳内にRANKLを注入すると体温が2度ほど上がった。神経にRANKを欠くマウスでは体温上がらなかった。体温が上がるしくみを調べてみると,RANKLは体温調節を行う脳内部位を活性化していた。またRANKは,雌の基礎体温の調節にも重要なことがわかった。さらに,RANKに変異をもつヒトの子供は,肺炎時にあまり体温が上昇しないことがわかった。  発熱反応と性特異的な体温調節における,RANKLとRANKの予想外の機能が明らかになったと,博士らはのべている。 -------------  

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