メディカルニュース
HIVに効く抗体のカタチ
Science 2009年11月20日号
 ある抗体がHIV-1に効くかどうかはわずかな立体構造のちがいで決まるようだ。

「HIV-1 gp120」というヒト免疫不全ウイルスには,細胞の「CD4」という受容体に結合する部位がある。この部位にはさまざまな抗体が結合できる。しかし,その部位に結合する抗体の多くはHIV-1の活動を止めること(中和)ができない。  この抗体が効きにくい理由を解明するため,アメリカ国立衛生研究所のチェン博士らは,HIV-1 gp120のCD4に結合する抗体で,中和の効果が弱いもの二つをHIV-1 gp120とともに結晶化し,その構造を調べた。二つの抗体はどちらも,中和の効果が強い抗体である「b12」と同じ角度で結合していた。しかし,結合のしかたにわずかな差があるため,b12が結合したものと立体構造にちがいが生じた。実験によると,b12とはことなる立体構造ではHIV-1を中和できないことがわかった。  抗体がCD4へ結合する際の微妙な差によって,HIV-1を中和できるかできないかが決まるようだ,と博士らはのべている。 -------------  

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