メディカルニュース
がん細胞の新たな攻略法
nature 2009年11月5日号
 治療が困難ながん細胞に細胞死を引きおこすことのできる遺伝子がみつかった。

 がん遺伝子「KRAS」は,多くのヒトのがん細胞内で変異を生じている。KRASに変異をもつがん細胞は増殖性が高く,このようながんに対する治療法はほとんどない。そこで,KRASが変異しているがん細胞で細胞死を引きおこすことのできる別の遺伝子さがしが有効であると考えられてきた。  アメリカ,ダナ・ファーバーがん研究所のバービィ博士らは,RNA(リボ核酸)干渉法という,短い2本鎖RNAで遺伝子の機能を抑制する方法を用いて,KRASに変異があるがん細胞で細胞死を引きおこすことができる遺伝子をさがした。その結果,KRASに変異があるがん細胞で「TBK1」という遺伝子の機能を抑制したときに,細胞死がおきた。TBK1は変異KRASをもつ細胞が生き残るために必要な遺伝子であることがわかった。  今回確立した手法を用いることで,それぞれのがん細胞の生存に必須な遺伝子を明らかにすることができるかもしれない,と博士らはのべている。 -------------  

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