メディカルニュース
集まり方よりふえ方が重要
Science 2009年9月4日号
T細胞の応答の度合いは,抗原特異的なT細胞の増殖の程度によって制御されていた。

 リンパ球の一種「T細胞」は,表面にある受容体によって,さまざまな抗原(病原体)を認識できる。受容体には膨大な種類があるため,ある特定の抗原を認識できる受容体をもつT細胞は10万個に1個以下である。病原体が感染したときには,数百万個のT細胞の中からその病原体を認識できる数少ないT細胞を集積させ,増殖させる必要がある。T細胞全体の応答の度合いは感染の重篤度と関係していることはわかっていたが,初期におこるT細胞の集積と増殖が,どのように応答の度合いを制御しているかは不明だった。  オランダがん研究所のファン・ヘイスト博士らは,T細胞にDNA(デオキシリボ拡散)の塩基配列を利用した"バーコード"を挿入し,一つ一つのT細胞を識別できるようにした。そして,抗原特異的に集積し,増殖したT細胞の種類を分析した。その結果,どのような感染方法,病原体,感染量であっても抗原特異的なT細胞の集積はほぼ一定だった。このことからT細胞の応答の度合いは,最初の集積ではなく,その後の増殖の強さによって制御されていることがわかった。 -------------  

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