メディカルニュース
無症状でも感染拡大
nature 2009年9月24日号
シカは病気を引きおこす異常なプリオンを,ふんを通して群れに広げていた。

 ウシの「狂牛病」やシカの「慢性消耗病(CWD)」は,「プリオン」というタンパク質の異常が原因だと考えられている。病気を発症した個体のだ液や尿,血液などに含まれる異常プリオンに,ほかの個体が接触することで感染が広がると考えられているが,感染ルートにはまだ不明な点が多い。  アメリカ,カリフォルニア大学のタングニー博士らは,CWDに感染しているオスのシカのふんには,症状が出るずっと前から,感染力のあるプリオンが含まれていることを明らかにした。博士らは,シカの正常なプリオンをつくるように遺伝子操作されたマウスの脳内に,症状が出る7?11か月前のシカからとったふんを注射した。すると高い確率で,マウス脳内のプリオンが異常なものに変化した,つまり感染したのだ。  含まれるプリオンの濃度は低くても,感染力のあるふんが長期間にわたって排出されることで,群れの中で感染が拡大するのだろうと博士らは考えている。 -------------  

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