メディカルニュース
胞子のかくれみの
nature
表面をおおうタンパク質の層によって,菌類の胞子は免疫反応をのがれていた。

 空気中には1立方メートルあたり,数千個以上の菌類の胞子「分生子」が含まれているという。分生子は,多くのアレルゲン(アレルギーをひきおこす物質)を含んでいるにも関わらず,ヒトなどが吸入しても免疫反応を引きおこさないことが知られていたが,その理由は不明であった。  フランス,パスツール研究所のエマニアンダ博士らは,病原性のアスペルギルス属の菌類がつくる分生子を解析した。その結果,休眠状態にある分生子は,表面を「RodA」という疎水性のタンパク質でおおうことで,ヒトなどの免疫系による感知をのがれていることがわかった。マウスを使った実験では,分生子からRodAでおおわれた表面を除去すると免疫系に認識されるようになったという。  今回の発見から,RodAでおおわれた粒子に治療効果のある物質を組みこむことで,免疫反応を回避しながら目的の場所まで届く薬ができるようになるかもしれない,と博士らは考えている。 -------------  

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