栄養のバランスをとりつつカロリーをうまく制限すれば,寿命がのび,加齢による病気の発症が遅くなることが,マウスや線虫,ハエなどを使った実験により明らかになっている。しかし,霊長類においても同様の効果があるかどうかは不明なままであった。
アメリカ,ウィスコンシン大学のコールマン博士らは,20年にわたりアカゲザルを飼育し,カロリー制限の影響を検討した。その結果,カロリーを70%に制限するとアカゲザルが老衰で死亡する時期は明らかに遅くなった。論文報告時点で,カロリー制限をしないグループの生存率が50%であるのに対し,カロリー制限をしたグループの生存率は80%だった。さらに,カロリー制限をしたアカゲザルでは糖尿病やがん,心血管系の病気など,加齢にともなう病気の発症を遅らせることができた。
ヒトにおいても適切なカロリー制限を長期間行えば,加齢の進行を遅らせることができるかもしれないと博士らはのべている。
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