メディカルニュース
治療法開発へ一歩前進
nature
ウォルフ・ヒルシュホーン症候群という先天性疾患の原因遺伝子が特定された。

 ヒトの4番染色体の一部が欠損すると,心臓の異常や知的障害がおきる「ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(WHS)」という先天性疾患を引きおこす。欠損した領域にある複数の遺伝子が原因だと考えられてきたが,主要な原因遺伝子は特定されていなかった。  大阪大学の二村圭祐博士らは,4番染色体にある「WHSC1」という遺伝子が欠けることで,WHSでみられる心臓の異常などの症状がおきることを明らかにした。WHSC1は,DNA(デオキシリボ核酸)と結合している「ヒストンH3」というタンパク質の特定の場所に「メチル化」という変化(修飾)をおこす。この修飾によって遺伝子の発現量が調節され,正常に器官が形成される。ヒストンの修飾を通じて心臓や骨,皮膚などの形成に関与しているWHSC1が欠けることで,器官に異常が生じるようだ。  今回の発見はWHSの発症原因の解明につながり,治療法の開発にも貢献するだろう,と博士らはのべている。 -------------  

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