メディカルニュース
脳転移を助ける遺伝子
Science
乳がん細胞が脳と血管の間のバリアをこえるのに必要な遺伝子が特定された。

 乳がんを切除した数年後に,脳でがんが再発することがある。がん細胞が脳に転移するには脳と血管の間の「バリア」をこえなくてはならず,そのためには特定の遺伝子の発現が必要だと考えられている。乳がん細胞が脳へ転移するために必要な遺伝子が何であるかは,明らかになっていなかった。  アメリカ,スローンケタリングがん研究所のマサグー博士らは,進行がん患者から脳へ転移しやすいがん細胞を採取し,どのような遺伝子の発現が増加しているかを調べた。その結果,「COX2」,「HBEGF」,「ST6GALNAC5」という遺伝子の発現が増加しており,これらが乳がん細胞の脳転移に必要な遺伝子であることがわかった。HBEGFとCOX2は乳がん細胞が肺転移するときに必要であり,骨や肝臓に転移するときには必要ないことがすでにわかっていた。今回,この二つの遺伝子は脳転移にも必要であることが明らかになった。一方,ST6GALNAC5は,脳への転移だけに必要な遺伝子だった。  今回の結果から,将来,乳がん細胞の脳転移を抑制する薬をつくれるようになるかもしれない,と博士らはのべている。 -------------  

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