結核は「結核菌」という細菌の感染によっておきる,現在もヒトの生命をおびやかす感染症だ。 多くの薬が開発されたおかげで,結核の治療期間は従来の2?3年から6か月ほどに短縮されたが,近年,これらの薬に耐性をもった「多剤耐性結核菌」が出現し,大きな問題となっている。 ロシア科学アカデミーのマカロフ博士らは,マウスに感染した結核菌を死滅させることのできる新しい抗結核菌薬「BTZ」をつくりだすことに成功した。 BTZが結核菌に効くメカニズムを調べたところ,結核菌が細胞壁を合成するために必要な物質をつくる酵素のはたらきを抑制することで,結核菌の死滅を誘発していることがわかった。 さらに,同じような作用をもつ既存の薬にくらべ,1000倍以上の効果をもっていた。 複数の薬を用いて結核を治療する「併用療法」にBTZを使えば,薬剤耐性をもった結核菌にも効果があるかもしれない,と博士らは期待を寄せている。
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