メディカルニュース
さまざまなウイルスに効くワクチンへ
Science
数種類のインフルエンザウイルスに反応する抗体のはたらきが解明された。

ワクチンの投与は,インフルエンザウイルスの感染を防ぐ有効な方法である。しかしワクチンは,毎年出現する個々のウイルスに合わせてそれぞれつくる必要がある。
これまでに,ことなる型のウイルスを認識する抗体が報告されているが,抗原のどの部分を認識しているのかはわかっておらず,ワクチンの開発につながっていなかった。
 アメリカ,スクリプス研究所のエカート博士らは,複数の型のインフルエンザウイルスに反応するヒト由来の抗体「CR6261」と,複数のインフルエンザウイルス由来の「HA」が複合体をつくっているときの結晶構造を明らかにした。HAとは,インフルエンザの外被にある糖タンパク質で,人の抗体に認識される部分だ。
 その結果,CR6261はHAの基部のへリックス構造を認識していることがわかった。CR6261が認識する抗原の部位が明らかになったことから,ヒトの体内において,CR6261に似た抗体を引きだすワクチンの開発が加速するだろう,と博士らはのべている。

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