メディカルニュース
幹細胞と活性酸素の関係
nature
がん幹細胞は細胞内の活性酸素量を少なくして,その機能を保っているようだ。

生物の生存に酸素は不可欠であるが,酸素の代謝反応によって「活性酸素」が生じる。活性酸素は,がんや心疾患,老化などに関係している。
最近,分化した細胞より,神経幹細胞や血球系幹細胞などのほうが活性酸素の量が少ないことがわかってきた。幹細胞としての機能を維持するうえでは,活性酸素が少ないことが重要であると考えられている。
アメリカ,スタンフォード大学のディーン博士らは,上皮の幹細胞やがんの幹細胞においても,活性酸素が重要なはたらきをしているのではないかと考え,研究を行った。
 博士らが乳腺上皮の幹細胞やがん幹細胞について調べたところ,分化した乳腺上皮の細胞や正常細胞よりも,それぞれの幹細胞のほうが活性酸素の量が少なかった。また,がん幹細胞が活性酸素を少ししかもたない理由を調べたところ,がん幹細胞では,活性酸素を除去する酵素の量が多いことがわかった。この酵素の機能を薬剤で阻害したところ,がん幹細胞としての機能が低下した。
 がんが示す放射線抵抗性は,このような活性酸素に対する防御機構と関係があるのかもしれない,と博士らはのべている。

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