メディカルニュース
発現異常が肥満を招く
nature
Jhdm2aの機能が失われると,代謝遺伝子の発現量が変化して肥満になる。

DNAの折りたたみにかかわるタンパク質「ヒストン」の成分「H3」の9番目のリジンを特異的に脱メチル化する酵素「Jhdm2a」は,核内ホルモン受容体による遺伝子活性化や,雄性生殖細胞の発生に重要な役割をもっている。
 アメリカ,ハワード・ヒューズ医療研究所の立石敬介博士らは,遺伝子破壊マウスを使った実験から,Jhdm2aは代謝にかかわる遺伝子の発現調節にも非常に重要な役割をもつことを明らかにした。Jhdm2a遺伝子が破壊されたマウスは肥満や高脂血症になった。
Jhdm2aが破壊されると,褐色脂肪ではβ-アドレナリンによって引きおこされるグリセロール放出や酸素の消費が乱され,骨格筋では脂肪酸化やグリセロール放出が減少するという。また博士らは,Jhdm2aが破壊されると各種の代謝遺伝子の発現量が変化することも示した。マウスでは,Jhdm2aの発現が,代謝遺伝子の発現や正しい体重管理のために不可欠なのだ。  今回のJhdm2a遺伝子破壊マウスは,そもそもの代謝遺伝子の変異などが原因ではなく,後成的な遺伝子発現の変化が肥満をもたらすというめずらしいモデルマウスだ,とのべている。

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