メディカルニュース
心筋の再生能力
Science
成人になっても心筋細胞は分裂してふえる能力があることが明らかになった。

心筋が損傷しても,自然に心筋細胞が再生することはほとんどない。そのため,心筋の損傷は慢性心不全の原因になる。
心筋細胞の再生を人為的にうながす心不全の治療法の開発が進められているが,成人の心筋細胞が増殖できるのかはっきりしないため,このような治療法が現実的なのかどうか不明であった。
 スウェーデン,カロリンスカ研究所のベルグマン博士らは,かつての核実験によって一時的に大量に発生し,人体に取りこまれた炭素の同位体(陽子の数が同じで中性子がことなる元素)を利用して,心筋細胞の年齢を割りだすことに成功した。
分析の結果,25歳では1年間に1%ほどの心筋細胞が分裂しており,その比率は年齢とともに減ることがわかった。わずかではあるが,成人の心筋細胞も分裂する能力をもっていたのだ。
 今後,心筋細胞の分裂を促進する治療法が開発することで,心不全が改善できるようになるかもしれない,と博士らはのべている。

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