メディカルニュース
蚊のマラリア防御戦略
Science
免疫を活性化しマラリア原虫の感染を防ぐ,蚊のタンパク質が特定された。

アミノ酸の一種「ロイシン」を多く含むタンパク質は,多くの植物や動物で,外敵の侵入から身を守る免疫機能の中心的な役割を果たしている。
 イギリス,ロンドン大学のポヴェロン博士らは,マラリアを媒介する「ガンビエハマダラカ」において,ロイシンを多く含む二つのタンパク質「LRIM1」と「APL1C」が,マラリア原虫の感染を防いでいることを明らかにした。この二つのタンパク質はたがいに結合して「高分子複合体」を形成し,蚊の体内を循環している。
そして,血中タンパク質「TEP1」の助けを借りて,高分子複合体は侵入しようとするマラリア原虫の表面に集まり,これを破壊するという。なお,この破壊をまぬかれたマラリア原虫が,ヒトに再感染するのである。
 今回のような研究が進めば,蚊の免疫機能を調節し,蚊が媒介する病原体のヒトへの感染を防ぐことが可能になるかもしれない,と博士らはのべている。

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