メディカルニュース
オートファジーと炎症反応 悪性化前でも転移する
nature
クローン病の発症にはオートファジーが関係しているようだ。
  細胞が自身のタンパク質を分解するしくみは「オートファジー(自食作用)」とよばれ,細胞内の安定なタンパク質のほか,侵入してきた細菌の分解を行っている。
これまでの研究から,オートファジーが炎症反応の制御に関係すると考えられていたが,そのしくみはよくわかっていなかった。大阪大学の斎藤達哉博士らは,マウスを使った実験により,オートファジーによって炎症反応が制御されていることを明らかにした。
博士らは,遺伝子操作によって,オートファジーに関係する遺伝子「Atg16L1」を破壊したマウスをつくった。Atg16L1は,腸で異常な炎症をひきおこす「クローン病」とも関係があるといわれている。すると,このマウスはタンパク質の分解がうまく行えず,炎症の原因因子である「炎症性サイトカイン」を非常に多く産生することがわかった。また,このマウスに大腸炎をおこさせたうえで,炎症性サイトカインを抑制する抗体を投与したところ,大腸炎の症状がやわらいだ。
博士らは,クローン病など腸の炎症をともなう疾患にオートファジーが関与していることが明らかになった,とのべている。
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