メディカルニュース
細菌と腸の情報交換
nature
腸内細菌を認識するしくみを通して,腸内環境が整えられているようだ。
  食物から効率よくエネルギーを取りだしたり,病原体から身を守るには,腸内の環境を一定に保つことが不可欠である。腸内環境が破壊されると深刻な病気にかかるおそれがある。
しかし,腸内にすむ細菌の種類や量と免疫系とのバランスを調節するしくみは,これまで解明されていなかった。フランス,パスツール研究所のブスクラ博士らは,マウスを用いた実験を行い,リンパ組織「孤立性リンパ濾胞(ILF)」の形成には,グラム陰性菌の細胞壁の成分である「ペプチドグリカン」が必要であることを明らかにした。
ILFは,小腸の内壁にある特殊なリンパ組織で,体内に侵入した病原体から身を守るはたらきにかかわっている。上皮細胞にある「NOD1受容体」がペプチドグリカンを検出すると,ほかの受容体を介して細胞内にシグナルが伝わり,ILFがつくられるという。 またILFがないと,腸内にすむ細菌の種類が大きく変化することもわかった
免疫系が細菌を検出するしくみを通じて,リンパ組織が形成され,腸内の環境が一定に維持されていることが示された,と博士らはのべている。
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